
- →たこ某さん
- → 子猫さん
- →冬至さん
FXにおけるレバレッジとは、いわゆる「てこ」の原理を意味しており、僅かな証拠金(元手・資金)に「てこ」をかけて、何倍もの取引をできるようにしたものです。
より正確に表現すると、てこの原理で持ち上げた物(所持しは通貨ペアポジションの額)の大きさと、証拠金(元手・資金)の比率をレバレッジと呼ぶのです。一般的には「20万円の証拠金で5倍のレバレッジをかけると100万円の取引ができる」という表現をしますが、正確な表現に直せば、「20万円の証拠金で100万円の取引をした時、そのレバレッジは5倍である」ということになります。
レバレッジを設定するというよりも、証拠金から通貨ペアのポジションを持ったとき、その資金の間はどれくらいの比率差があるかという理解をしておくべきでしょう。このレバレッジがあるからこそ、FXは急速に投資家を増やし、FX会社を増やし、口座数を増やし、取引量を増やしてきたわけです。このレバレッジを上手に活用することができれば、個人投資家であっても巨額の資産を築くことも不可能ではないと考えられます。
実際、FXの黎明期は、大きなレバレッジと、値動きの激しい通貨を狙って、億単位の資産を築いた個人投資家が話題になったことも記憶に新しいのではないでしょうか。しかし、実はその可能性というのは、大きなリスクとの裏返しなのです。
確かに、レバレッジは少ない資金でも大きな利益を得られるチャンスがありますが、その分、全くの当比率でリスクも高まります。
例えば、1ドル=100円の時、10万円で1万ドルのポジションを持った際、レバレッジは10倍となります。ここで1ドルが101円に上がれば、1万円の利益になります(101万円-100万円)。しかし、99円に下落すると、1万円の損失になるわけです(100万円-99万円)。上記の例であれば、元手の10%の利益が望める一方、10%の損益の可能性もあるわけです。
さらに言うと、上記の例で証拠金を5万円とした場合を考えてみましょう。レバレッジは20倍になり、1円の上下が1円の利益・損失になります。ただ、レバレッジが20倍、証拠金が5万円ですので、利益・損益の比率は20%(5万円に対する1万円)というよう大きくなるわけです。チャンスこそ大きい者の、転落した時のリスクは大きくなる、それがレバレッジの本質ということになります。
では、どれくらいのレバレッジまで取引できるか、と言う話ですが、以前は個人であっても何十・何百倍というレバレッジで取引ができました。しかし、このレバレッジをギャンブルのように受け取った投資家が、リスクを許容できずに資産を失い、市場から姿を消すケースが頻発しました。こうした背景を受け、2011年8月、法改正によってレバレッジの上限は25倍までという形に変更されました(個人投資家の場合。法人は別)。
ですから、例えば10万円の証拠金で取引できるのは25倍の250万円まで、ということになるわけです。
それでは、どれくらいのレバレッジが最適かという問題が挙がると思います。この問題に答えはありません。
小さすぎるレバレッジでは大きな利益を得るチャンスを逃してしまうかもしれませんし、大きすぎるレバレッジは前述の通りリスクが大きくなります。言うまでもなく、それぞれの投資家の考え方やスタイル、資金などの条件は異なりますので、「その投資家が望んだ利益を出すことができた時のレバレッジ」が正しいレバレッジ、ということになるかもしれません。
とは言っても初心者には難しいものです。ですから、方針として最初は5倍未満のレバレッジで始め、徐々にレバレッジを挙げていくことをお勧めします。つまり、そのレバレッジに対応して取引ができるだけの証拠金を持って、低いリスクから実際に取引を始めることが大切だと言えます。
いきなり高いレバレッジで取引を始めると、一度の失敗で多くの証拠金を失いかねません。そこからリカバリーするためにはかなりのエネルギーがかかりますので、まずは「生き残る」ということを前提に考えるべきと思われます。また、投資は丁半博打のようなギャンブルではありません。確かに「上がるか、下がるか」のフィフティ・フィフティではありますが、適切な分析や調査を行うことで、その確率をコントロールすることができるものです。
もちろん、予想不可能な要素もありますので100%はありませんが、少なくともそういった判断材料を集めることで、確度の高い方向を決ることができます。もし失敗するリスクの低い判断であれば、高いレバレッジで取引するのも、ひとつの選択肢と言えると考えられます。